歯についた茶渋を落とす方法を調べていると、「紅茶を飲むと、酸蝕症になって歯が溶ける」という話をちらほらと見かけます。
今回は、酸蝕症とは何か、紅茶で歯が溶けると言われる理由を紹介していきたいと思います。
それではどうぞヽ(´▽`)/
虫歯じゃないのに歯が溶ける「酸蝕症」とは
酸蝕症(さんしょくしょう)とは、普段の食べ物や飲み物によって、虫歯が原因じゃないのに歯が溶けてしまう病気のことです。
コーラなどの炭酸水やレモンなどの酸味が強いものなど、酸性のものを好んで口にすると、虫歯と同じように歯が溶け出してしまいます。
溶け出す基準は、口の中のpHが弱酸性(pH5.5)になると歯が溶け出すと言われています。
紅茶で歯が溶ける!?
そこで気になるのが紅茶の話。「紅茶には砂糖よりミルク❓ | 落合歯科医院」によると
一般に、紅茶のpHは約5.5と言われており、紅茶の種類によってはpHがさらに低いものもあるため(例:アッサムティーはpH4.9)頻繁に摂取することは、酸性の食品に由来する、いわゆる「酸蝕症(さんしょくしょう)」のリスクを上げる可能性があります。
紅茶は酸性で、酸蝕症の恐れがある食品であるとのことです。虫歯菌の酸と紅茶の酸で、ダブルパンチで歯が溶けているのかも。゚(゚´ω`゚)゚。
だから「少しでも中和しなきゃ」と、アルカリイオン水で紅茶を淹れるようにしています。
実際に紅茶のpHを測ってみた!
でも、紅茶ってほぼ水だし、酸味もないですよね。
そんな紅茶が歯を溶かすほど強い酸なのか?って言われたら「ん?」ってなりませんか?
というわけで、理科の実験でお馴染みの「リトマス試験紙」を買ってきました!
リトマス試験紙を使えば、本当に紅茶が酸性なのか調べられるはずです!
紅茶はpH5.5と言われているので、この試験紙だと、黄色とオレンジの中間くらいになるはずですね。
さっそく紅茶を淹れてきましょう!
今回はルピシアのボンマルシェで購入した「ボンマルシェダージリン」のティーバッグを淹れてみました。
小皿に少しだけ注いで、リトマス試験紙を入れてみると、オレンジ色に…ならないですね。
明らかに中性です(`・ω・´)
この結果、ストレートの紅茶は、中性であることがわかりました。ほぼpH7.0です。
一般的な「紅茶は酸性である」という話と明らかに違う結果になりました。
この結果が怪しいなと思う方は、ぜひご自身でも実験してみてください。もしかしたら茶葉の違いや計測方法などによって、異なる結果になるかもしれません。
「紅茶が酸性である」根拠は?
pHを測ってみたところ、明らかに中性なはずの紅茶が、いったいなぜ「酸性である」と言われるようになったのでしょう?
気になったので、多くの歯医者の記事で、根拠として取り上げられている資料を改めて調べてみました。その資料がこちらです。
引用: 愛知三の丸病院だより第5号資料_食品・飲料の酸性度表.pdf
市販の飲料のpHをまとめた資料で、紅茶飲料としては、以下の4種類の「午後の紅茶」が取り上げられています。
- ストレートティー(pH5.5)
- 無糖ストレート(pH5.7)
- レモンティー(pH3.6)
- ミルクティー(pH6.8)
「一般的な紅茶=ストレートティー」ということで、「午後の紅茶」ストレートティーのpHを、紅茶のpHとしたということですね。
でも「午後の紅茶」ストレートティーって、家庭の砂糖入りストレートティーと味が違いますよね。少しフルーティーな気がしません?
それもそのはずで「午後の紅茶」ストレートティーには、ビタミンCが入っているのです。ビタミンC粉末を、そのまま舐めると酸っぱいですよね。
これが酸性の正体です。
「午後の紅茶」ストレートティーを、砂糖が入っているだけの純粋な紅茶だと思っていた人が、上の表を見て「紅茶は酸性だ」と勘違いしたのではないかと思います。
少なくとも実験結果からは、そう予想するしかありません。
「酸蝕症と紅茶について」まとめ
- 酸蝕症とは、酸性の食べ物や飲み物によって、虫歯菌が原因ではないのに歯が溶け出してしまうこと
- 「紅茶は酸性。酸蝕症のリスクがある」と言われている。
- 実験結果では、紅茶は中性だった。少なくとも今回の紅茶(ボンマルシェダージリン)には酸蝕症のリスクはない。
- 紅茶が酸性と言われるのは「午後の紅茶」を基準にしているから。
- 「午後の紅茶」には酸性の物質が含まれているだけで、すべての紅茶が酸性というわけではない。
実際に自分で調べることで、周囲の情報に誤解や不自然な点があることに気付けるということがわかりました。
もしかしたら他の茶葉では本当に酸性なのかもしれません。ぜひみなさんの手で、調べてみてください。
複数人の実験結果が得られれば、歯医者の方々に「それは誤解です」と言えるかもしれません(о´∀`о)